平和で幸福でありふれた夜
ママの子守唄と心地良いぬくもりの
やさしい庇護のもとで眠るの

ぼくらを見下ろす
無数に輝くまやかしが
まばたきの合間に
ひとつひとつ消えていく

宵闇にまぎれて
少年は猫をころし
少女はキスをねだり
ぼくは夢をみていた

(きらきらひかるおそらのほしよ!)

地上に落ちたひかりは
涙色に染まり
血色に染まり
いつしかぼくらは
かなしみの中を泳いでいる

ああなんてうつくしい夜なのだ
少年は赤い服で踊りまわり
少女は高らかに声を上げて
ぼくはやすらかに微笑む

(killer!killer!)

生まれて死んでいく夜
この幸福に再び巡りつくことはない
消えたひかりを惜しむには遅すぎた

さあ!
少年の悪事も!少女の堕落も!ぼくの悪夢も!
なにもかもブラックホールに投げ出してしまえ!

いずれすべては星になり
うつくしくまたたくのだろう
だれかのまばたきにころされる日まで





100826
夏(詩)にて。に。
イメソン:モーツァルト/キラキラ星変奏曲