きみの不幸を引きずり出して
ぼくは嬉しそうにわらう

憐憫を寄せればなんだって美化できて
絶妙のタイミングで目をつむれば悪は消滅する

知らない国の戦争も
3万人の自殺者も
飢えて死んだ少年も
取るに足らない

だれかの幸福ほど
心をドロドロにするものはない

ぼくの手の及ばないところで
きみが幸せそうにわらうなら
いっそ殺しちゃいたい

ざらつく感情が巣食って
いつしか救いようのない
いきものを生み出すかも

きみの涙をじっとみつめて
世界平和を願うような曖昧さで
それでも確かにしあわせを祈ったよ

汚された過去がご馳走に思える夜もある
まっさらな未来が鋭いナイフになる朝もある

殺意になれない憎しみが
手に触れてさんざめけば
ぼくの浅はかな共鳴が
夜に融けてきらめく

きみが明日しあわせだといい
しあわせだといい




100802