さまよって
さすらって
どこにもいけず
孤独な漂流者
ゆらゆらと揺れる小船
時おり悪夢を呼ぶ以外は快適な小船

ゆらゆらゆら

死ぬことも
生きることも
選ばなくて
ただ次があるならば
もう絶対に人間は嫌だと思った

(絶望してるの?)
(いいや希望が愛想を尽かしただけさ)

絶望はしない
絶望することは
希望を期待していることだ

わたしは真ん中がいい
できるだけ無に近づいて
ひっそりと息をするだけでいい

(どうかしたの?)
(あのね死期を逃してしまったみたいだ)

静かな誓いは
昨日人知れず
反故にされた

それでも呪いは終わらない

差し出される手は
あまりにも優しすぎた
あふれかえる疑心は
とめどなくて
怖くて悲しくて
だったらいっそ

いっそ、

さまよって
さすらって
孤独な漂流者
人生の小船は
だれもどこにも運ばない

(ねぇ、覚えている?)
(いいや忘れてしまったよ、海ができたのと泣き出したのどっちが先かなんて)




090608