なにもかも許してしまいたくなる
ぼくは神さまじゃないのに

世界に照らし合わせれば
きっとなんだってさみしくなる

眠れない夜は上手に自己暗示できないから
月を見失って慌ててリモコンを探れば
指先は生ぬるい感傷に触れてしまう

かりそめの病名にだけ心を寄せて
安堵の息を3回吐けば
まるでぜんぶが夢幻のようで

つぎはぎの日常
まちがいさがし
リピート
エンドレスリピート

きみが渇望したえいえん
ぼくが渇仰したしゅうえん
どちらも錆びついて

あの公園のブランコ
きみが落ちて怪我をした
真夜中の秒針の間を縫って
ぎこちない悲鳴のように
ギィギィと音が響く

ギィギィ、ギィギィ、と啼く

3年前にブランコは撤去された

ギィギィ、

きみは今どこにいるのだろうか

ギィ、

ぼくは今もまだ生きているのだろうか




100518
愁遷 : 鞦韆(しゅうせん)=ぶらんこ。「愁遷」は適当に当て字です。