"あなたのきもちがわかる"
吐きだしたあまい妄言に頭がくらくらした

繋いだ手から腐乱していくんだ
触れる身体もないのにそう思った

かなしそうに微笑まれたら
震えるくちびるを綴じるしかない

"どうしてそんな顔でわらうの"
押しこめたからい独言に胸がぐらぐらした

なんにも云わないならば
せめて死にたいって云って
どこにも行けないならば
せめて生きたいって云って

呼吸をうながす
泣きたくなるようななにか
縋りついてしまいたくなる

あなたのきもちなどわかるわけもなく、

終焉を手放したら蘇生していくんだ
穏やかな昼下がりにそう思った

"あなたのきもちがわかる"
(ほんと、ほんとだよ)

日暮れの忘却があかく染まれば
綴じたくちびるがほつれてしまう

冷たい風が言の葉をさらって
今日がまた終わりを告げた

これはさよならのつづき
人知れずくりかえされている




100409