その記号は一体なんなのだろうか
いまさら考えてみても
答えは遠退くばかり

冷え切った死体に
さめざめと泣いたりしない
ただ届かなかった言葉が
悲しそうに目を伏せる

並べられた相似点に
ぼくも所詮は記号の一部だと思い知った
憎しみを抱いても行き場を失うだけ

だれもわるくない
そう云われてしまえば
ぼくの痛みも
勘違いか気違いにするしかない

ずるさとやさしさはよく似ていて
その記号の中でさらにあやふやになる
だけど見過ごしていい理由にはならない

(ならないのに、)

だれもわるくない
ならば、
ぼくもわるくないだろ

××はぼくの明確な殺意によって×された

あのときの身を割くような痛みは
どちらのものだったのだろう

もしかしたら
錯覚だったのかもしれないし
疾うに死んでいたのかもしれない

記号の呼吸を聞いた
あの日をぼくは忘れない
ぜったいに忘れないから

もう悲しみを終わりにしてもいいよね




100302
(それはたぶん安易で陳腐な妄想だけど)