静寂と孤独に飢えている
喧騒を断ち切るためじゃなく
静寂を打ち破るために
音楽を聴きたかったんだ
きみのどんな呟きも
聞き漏らさない深夜
今日はやけに静かだなあ
と思ったら
雪が降っていた
窓を開けたら
寒いと怒られた
眠そうに目をこするきみ
ねむっていいよ
うながせば首をふる
どこにもいかないよ
お気に入りの音楽を小さくかけて
やわらかな毛布をきみにかけて
ぼくは読みさしの本をひらく
死にたがりの少年の話
たゆたう妄想のもとへかけて
朝はすぐそこ
だけどぼくらにまで
ひかりは及ばない
活字が滲む
きみの寝息がやさしいから
世界がやさしすぎたから
もうすぐなにも聴こえなくなる
少年は今日も生きのびてしまった、
もうなにもきこえない
100203