ぼくはニート
明日飢えて死ぬかもしれない
なんてことはなく
両親の甘さに
やさしく生かされている
テレビのニュースで
片足失くした少女が
妹の亡骸を抱いていた
その瞳にはもう
かなしみすらない
明日飢えて死ぬかもしれない、
少女はぼくを知らない
ぼくは少女の顔を知っているが
たったそれだけのことである
ぼくらは一生
不幸を嘆きあうことも
明日を語り合うこともない
絶望ならありふれていた
憐憫さえ罪深く
3秒ですべて忘れることが
正しいとさえ思う
(きみはそれでも泣くけれど)
テレビのニュースは
季節外れの桜が咲いた
と云っている
ぼくは目をつむり
平和だな
とつぶやいた
100125