ぼくの傷をあげよう
明日のきみが
少しでもやさしくあれるように

かなしみの裏づけなら
今きみが手にしている

見知らぬだれかの死に涙するのは
なんだかいけないことみたいだね

だってぼくらは
今日も昨日もきっと明日も
この命の終止符の打ち方ばっかり考えている

どうぞと云ってあげられたらいいのに
余命宣告を受けた少女に
地球の裏側の痩せ細った少年に
握りしめたドラッグを手に入れるような容易さで
この命をあげられたらいいのにね

教科書には書かれていない
汚い言葉ばかり覚えて
先生は教えてくれない
陰湿な方法ばかり学んだ

それはもう病気だと嘲笑れて
本当にそんな病気があったらいいのにと
なんどもなんどもそう思った

傷口を見せあって
笑いながら呪いあっても
だれかが愛をささやいてしまう

いらないと突っぱねたら
押し付けられて

世界はそんなふうに残酷で

だけどぼくもそんな世界の住人らしく
きみに愛していると云ってしまう

いつかきっとそんな日がくるのだろう




091210