切り取られた日常が
あたりまえみたいに差し出されて
戸惑うぼくは
やっぱりおかしいのかな

やわらかな温度や
楽しかった日々を
未来の恐ろしさに負けて
捨ててしまう

なくなるのが怖いんじゃない

執着して
つよくつよく
ぎゅうって
締めつけてしまったら

いつか殺してしまったら、

やさしさを遠ざける
きみのためだよって云いながら
だれよりも自分を守っている

小さなてのひらからもらったキャンディー
あかくてきれいな色だった

何味なのかな?

ずっと口にできないぼくは
たしかめられないままでいる

あの日のキャンディーは
ポケットの中でとけて
ベトベトになってしまった

まるで

ぼくの心みたいに




091123