残酷になるのは簡単なこと

しあわせの裏をめくれば
不幸がうごめいている

あばきたててやろうか
おまえの罪を

生まれたての赤ん坊だって
やわな手のひらに残酷さを持っていて
きみのひたむきさだって
明日には殺意になるかもしれない

世界は
ずっとおかしくて
ずっとつめたくて
ずっとざんこくで

ぼくらのかなしみに見向きもしない

守りたかったやさしさは
道ばたに無造作に捨てられ
屋上からばら撒いた札束には
人々がむらがる

目をギラつかせた群集の中で
少年がアスファルトに咲く花を守ろうとしている
だけどその少年は
家に帰れば父親に殴られる

世界ははじめからおわりまで

ずーっと

ただしい

罪はあばかれる
だれも裁かれないまま

ぼくらは願う
屋上から大金が降ってくることを

蹂躙されたやさしさが
少年の手のなかで発光する

うつくしく光ってみせる




091105