なくなった絵本のページ
わたしがたべてしまったの

かなしいものは
きみにあげたくない

まいにちの食事に愛をこめて
悪夢をみないように子守唄をうたおう

だいじょうぶ
ちゃんとまもるからね

たいせつにして
たいせつにして

だきしめて

あいしてる、っていうわ

「ねぇ、いたいよ」

だけど腕のちから加減は
いつだってむずかしい



ひろいあげた現実のページ
ぼくがみつけてしまったの

やさしいものは
つづきをくれない

毒入りスープも舌になじんだよ
あの人はわるい人だって毎夜おしえてもらったよ

だいじょうぶ
ちゃんといきていけるよ

あいされていた
あいされていた

だから

さよならって、いうよ

「――――!!!!!」

耳をふさぎたくなる暴言は
愛とさほどかわらない

ただすこしだけ
ほんのすこしだけ

かなしいね




091104