きみの存在がぼくを脅かす

手作りクッキーの有毒性を疑うように
母君の包丁を恐ろしく感じてしまうように

愛の重さで人を殺せるから

だからぼくは
そっとやさしさとすりかえて
無関心という本を開く

嫌いじゃないよ
そう云って微笑んでおけば
人生は容易い

それなのに
きみはうそぶくから

やさしい声で云うから

ハートのチョコレートが
鋭利な憎悪にすりかわる瞬間を
知っている

(だってそう本に書いてあったんだ)

うそぶく声が
真実味をおびてきて

いつの間にか
猜疑心はすりかえられる

きみの存在が

ぼくを、




091024
(あいしてる、なんて云わないで)