指先から足先まで
呼吸音にさえも
意味を見出して
惜しみない賞賛をおくる

毎日の食事に理想を混ぜては
美味しそうに食していた

ゆるやかな毒は
気づかぬうちに蝕んで蓄積して
きみを模造する

招かれたお茶会
テーブルの下に腐敗した残骸が
散らばっているとも知らないで
あどけなく笑っていた

猛毒がいい、と云った
その意味を噛み砕けなくて
ぼくはまるごと咀嚼してしまった

手のひらは汚れて
うつくしさは幻想で

偽者のほうが愛されて

そう知っていた
知っていたのに、

ぼくは懲りずに
お皿のクリームまで嘗め尽くして
おかわり、と云う




091016