ぼくは必死な顔をして
永遠を握りしめていた

伸びた爪が
皮膚を抉ることなど
おかまいなしに

毎夜
こぼれおちる
なにか、

眠れない夜に
膝を抱えて
震える心を
宥めすかしていた

カーテンの隙間から朝が来る
朝焼けのうつくしさ
朝食を作る音
くりかえされる日常
たぶんこれは
幸福となぞらえることができるのだろう

守られていた

(だけどぼくは隕石が落ちてくればいいなんて願っていた)

怯えていた
かたくなな心が
独りで耐えていた

  もうすぐ「朝だよ」という声が聞こえてくる

こわばる指をそっと解く

手のひらは空っぽ、

ただ致死量の真実だけが
くちびるに触れる

ぼくはやっと観念して
安堵の息を吐き出した

(もう隕石なんか落下しなくもいいんだね)




090923