世界が落下する音を聴いた
執念深い重力の中で
ぼくだけが
自由であった

浮遊していく
天井を突き抜けて
空の彼方へ

宙に舞う

ぼくは自由だ
ぼくは
自由


今にも泣き出しそうな曇天を前にして
ぼくは青空をみて

茜色に染まる黄昏を背にして
ぼくは流星をみる

うつくしい世界
青い青い飴玉
ぼくの舌の上で

ころころ

ころり

溶けてなくなる

神様にだってなれるよ
なれるよ、
なれるよね、きっと

孤独の淵で願っていた
完成形のぼくが
願っていた

(ああでも繋がっていたい)

思春期をとうに越えて
肉体は朽ち果てるのを
そっと待つばかり

手放したかった

ぼくをぼくと知らしめる
劣悪なレッテルを
どうしようもない不自由を

(だけど繋がっていたいから)

空はついに泣き出して
瞼の裏でも雨が降る

見なれた天井が
静かに滲んだ




090915