優しくされると
心が一瞬血迷って
理解されたい、と
小さく声をもらしてしまう

こぼれ落ちた心は
きみに拾われても捨てられても
後悔と羞恥を招いてしまうというのに

その夜
ぼくはベッドの上で
軋む心臓を抱えて
のたうちまわる

じたばたして
ジタバタして

眩しすぎる朝日で我に返る

理解されたい、と
思ってこぼした一言だときみは知らないだろう
的確に理解できる誰かなどいないように
それはぼくであっても、きみであっても、

だから日常は容易い顔をしてやってくる
きみだって日常を取り繕ってやってくる
ぼくも変らず取り繕える

優しくされると
心が一瞬傾いて
素直にはにかんでしまう

理解されたい、と
思ったぼくの愚かさは
後悔と羞恥でいっぱいだ

だけどきみはそれを知らない
笑うぼくを見ているだけ




090912