そっときみの深淵を覗き込む
そこに安易な理由を拵えて
パステルピンクの希望と、コバルトブルーの絶望を、みいだす
それは、色褪せた追憶の海に身を投じるときの
浸透する痛みに安寧をかんじるのに似ている

(きみのくちびるからかみさまのはなしをききたい)

ふっとぼくが自嘲的にほほえむ
そんな空疎な方法で欺いて
ミントグリーンの慈愛と、レモンイエローの憎悪を、さしだす
それは、遥か彼方の宇宙に死を夢見るときの
空虚なる恐怖に愉悦をかんじるのに似ている

(ぼくのざんこくなやさしさできみをころしたい)

     きみはついぞ かみさま ということはなかった
     ぼくになんにも ひとしずくさえも あたえずに
     ひとりばかみたいに くるしんで なきつづけた 

     ぼくはついぞ やさしさ をてにすることはなく
     きみのなんにも ひとしずくさえも うばえずに
     ほんとばかみたいに きみの×××を ほっした

きっとふたりは深淵を思い込む
そして幸福な不幸を誂えて
ダークグレーの日常と、スノーホワイトの虚構を、はきだす
それは、ありふれた瞬きの間にキスをするときの
燦爛たるときめきに哀切をかんじるのに似ている

(きみのくちびるからぼくのはなしをききたい)
(ぼくのぎこちないやさしさできみをすくいたい)

     ふたりはついぞ ひとつ になることはなかった





初稿120102/改定130418