とおい世界の話です
あしたのための笑い噺です
笑わないあの子の手を引いて屋上からハイジャンプしました
先生、青春とは確かにまばゆいばかりの青でした

「教師ではない
 吾輩は兎である」

ぼくらはこの緻密な檻の中で幸福を教わります
ミルクティー色の髪のあの子を慈しむ心を持っています
しかし、見知らぬ人の背中を蹴り飛ばしたくて仕方がないのです
あの軽蔑の眼差しを向ける眼球を抉り取ってしまいたいのです
先生、ぼくらは悪い子でしょうか

「箇条書きできる理由に意味なんてない
痛々しい懐古趣味のために教師をしているのだよ」

ポケットに吸いなれない煙草をしまっておくのです
耳に空けた穴から嘘がこぼれないように塞ぐのです
切れたくちびるでセックスは容易いことだと云うのです
粗悪なアルコールを含んできみとキスをするのです
先生、青春とは軽薄で苦い味がするのですね

「この素敵な仮面の下でありもしない初恋を捏造して
青臭い傷心ごっこにいつまでも身を投じているのだ」

そろそろお開きの時間になります
パンドラの箱は疲れて閉じることをやめました
それでもぼくらはしあわせです
先生がそう教えてくださったから

「私の青春はグラウンド脇の金木犀の下に埋まっている」

つまり、
『くそくらえということ』です