どんな雑音だって
飲み込んで
ぼくはこれでもかというくらい
叫んでみた

ひどくよどんで
まるで壊れたレコード

削れた円盤は
ぼくだねと
傷んだだ指先でなぞってみた

これでも強かになったほうなのに
世界はどこまでもぼくらに
冷たい

今日も足早に通り抜ける
明日も変らず
きっと
交差点の青信号の点滅に
走ってしまう

慣れない温度が背中を走る
逃げ出したい
酸素を捨てて逃げたい

いたいの
いたいの
うちゅうのはてまで
とんでいけ

どうぞぼくもいっしょに
とんでいけ

それでも
ぼくは重力に適度に従いながら
酸素と君に引きずられながら
行き先も分からず
急いている

叫んでみる
昨日よりもっと
僕はしがない地球人
この星で生きて死ぬ
ときどき「かみさま」とかいいながら
どんな信仰もしないまま
ありふれた不安と
とぎれない絶望に
まみれなかがら
幸せを反芻しながら
それでも
今日も笑えることを
幸せと名付けながら

まわる
地球
まわる
レコード
まわる
人ごみ
まわる
思考
まわる
目が
まわる
まわる
まわる
ぼく

いきる
ぼく

どんなふうになる
これから
この地球〈ほし〉の曖昧さに
住人は戸惑い
ぼくは彷徨い
気づくともう日が暮れていて
太陽の在りようを考え始めたら
すべてのにせものに愛を寄せて

ぼくはただ
真実の薄さを悟っただけ




061230