落下するぼく 離散する孤独に手を伸ばす 不謹慎な祈りほど 真摯だったものはない ナイフなんて握らなくても だれかは勝手に傷ついていく 鮮明な殺意も 暗澹とする未来の前には まだまだ足りない ピアスの穴 手首の傷 注射の痕 ひとつも持たない ぼくの非行は まぶたの裏に隠してある 飛行するきみ 失踪するぼく 密集する憐憫を打ち払う 冷たい瞳はいつも 世界の果てしか欲していない ことばを失くしても だれかは勝手に死んでいく 伏せたまつげから こぼれ落ちる 透明な滴の有毒性を だれも知らない 今きみがそっと眦にキスをした |