かみさま、どうか、おわりにして、
きみのために、(ぼくのために、)

祈りも浅く
残酷な朝が降り注ぐ
どうか、そのまえに、

世界よ、終焉を、

さよならを、

青の繋ぎ目が綻びて
瞳が冷たくきらめく
純真さが罪だと
罰せられた幼き日の
あの夢、

どうしてあのときちゃんと終われなかったの?

染み付いたやさしさが
苦しくて
汚された聖域にもたらされた
嘘に縋りついてしまった

  ねぇ、もう、やすらかな眠りを、

100年前の約束
1000年の記憶
ぼくに刻み込まれた残酷な歴史
巡る、巡る、愚かな、

ニセモノばかりだ!

かみさま、かみさま、
ぼくの、かみさま、
願いはひとつ
おわること
もうはじまりはいらない
もう、なにもほしくない
ただ、おわり、たい、

  夢をみていた、幸せな、終わらない夢を、きみと、いう、

あたたかい場所へ
ラピスラズリの海を越えて
ひとすじの光のもとへ
あの空の向こうへ

  (ああ、だけど、ぼくのもとには残酷な使いさえ訪れない)

波がきみの欠片すら浚っていく
このきれいな海辺が
絶望の淵だというのか

まだ世界はこんなにも色づいている

すべてにきみが見え隠れして
ぼくは溢れるままに
透明を溢していく

  この小船の行く先をたどっても青は交わらないのに




0801007
(宮沢賢治の「オホーツク挽歌」を読んで)