おいてけぼり少女



かなしくてやさしいはなしを紡いでみたかった。それなのにわたしの中はいつも空っぽ。だれかのかなしみを呑み込んでは吐き出して。だれかのやさしさを掴んでは落として。そんなことの繰り返し。

本当のことなんてどこにもないんだ。ごめんね。うそつきで。うそしか云えない口で。ごめんね。

14歳の冬。わたしの死にたいは封じられてしまった。その日から得体の知れない力に生かされている。抗うように言葉を発したところでだれも殺すことなんてできない。わたし自身さえも。

余分なものをたくさん抱え込んで繋ぎとめてみたって。次の日に捨ててしまえるのだから意味など無い。

愛のうたなんて一生うたわない。孤独だけがわたしの糧になっていく。繋ぎかけの手を振り払って十数年。使い捨ての人間関係が山積みになって。いつしかさみしいの意味さえ忘れてしまうの。

かなしくてやさしい。そういう人をわたしはたくさん知っている。今も隣りで微笑んでいてくれる。だけどきっといつか明日にでもわたしはその人を過去にしてしまえる。

孤独でも生きていけるって思う。

だけど消せないまま増えていくメモリィが示す意味はそれとは正反対なんだろうね。

手を放さないでいてくれる人を待っている。愛を知らない子どもみたいな顔をして。

ずっと

待っているの、




091025