秋祭り



知識なら電車で20分揺られて5分歩いた先の図書館に溢れていた。
読みさしの本を置いて考える。

孤独でもちっとも困らないわ、

わたしがそう嘯くと、だれかが鼻で笑った。
そんなのは現実じゃないとばかりに。

でも、現実だって嘘ばっかり、

孤独が鮮明になるのは図書館じゃなくて、揺られている電車でもなくて、たった5分の徒歩でもなくて、だれかの隣りにいるときなんだ。
楽しかったあとは哀しい。
満ち足りたあとは寂しい。
人はなんにでも慣れてしまえる。
孤独にも。
そして、幸福にも。

昨日は本当に幸福な夜だった。
小さな体やあたたかな体温に寂しさをまぎらわしてしまうくらいに、満ち足りていた。
情けないわたしを笑ってしまえるくらいに、やさしい夜だった。

今日ベッドからなかなか起き上がれないくらいには、幸福な夜だった。




091004