恋する10のお題



01.君がいるから

強くなれる、

と云えたらいいのに

02.伸ばした手

ふわふわの髪に指を通す
細い肩に腕がまわる
ためらいなく手が繋がる
冗談にまぎれてやわらかな胸に触れる

ぼくの手は空を掻く

(クソッ、同性って羨ましい!)

03.落書き

ノートにも書けない
机にも書けない
黒板の隅っこなんてもってのほか

きみの姿を盗み見ながら
ひっそりと空中に
名前を書いた

04.あったかい

他愛無いぼくは
きみの前じゃ
季節すら捨ててしまえる

名前を呼ばれて
微笑まれたら
春になる

05.触れるか触れないか

目を閉じて思い描く
かわいい顔で笑う
きみを

だけど
瞳に映りこむのは
横顔ばかりで

ぼくはいつも
上手く輪郭をなぞれない

右耳の形なら
すっかり覚えてしまったのに

窓際の特等席も
きみが振り向かないならば
意味がない

行き場のない思いを
誤魔化すように空を見た

   きみが振り向く、

青空に目が眩んで
目を閉じる

きみが笑う

06.後ろ姿

びくり、と震えた背中は
思ったよりもずっと小さかった

ふいに鼻腔をくすぐるいい匂いに
心臓が跳ね上がる

これからどうするかなんて考えていない

だって、泣いているかと思ったんだ

07.唯一

もう二度とだれかを
好きになったりしない

だからどうか
この恋に終止符を打たないで

08.夢の話

とてもじゃないがきみには聞かせられないよ!

09.隣に

なんなら永遠を誓おうか、

(恋とはそんな妄言すら吐かせてしまうのだ)

きみは苦笑して

とりあえずは10年後、

と云ってはにかむ

ぼくは同じよう照れ笑いをしてから
神妙に肯いて

死ぬまで、

ときみには云わずに
繋いだ手のぬくもりに誓った

10.好きだよ。

教室の窓からの日差し
購買のやきそばパン
近所の野良猫
友達とのバカ話
よれよれの愛読書
ベッドの下のエロ本
欠かさず見るテレビ
思わず口ずさむメロディ
母さんが作ったコロッケ

ぜんぶまとめても
きみに伝えるべき言葉とは
同質にはならない

100回云っても足りない
もういっそぼくの心臓をあげたいくらいだ

でもそれはできないから

大人なふりして

あいしてる、

なんて云ってみた

(恥ずかしくて死にそうだ)




090928
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