ひとりよがり懺悔



怒られた優しい言葉で怒られた。だけどぼくはそれを容易く裏切ることができる。優しさを踏みにじってそ知らぬ顔をしてしまえる。世界は昨日見た夢ほど残酷ではないけれどぼくの呼吸を奪うほどには難解にできている。簡単なのは殺すことと死ぬこと。それ以外はぜんぶぼくの手にあまるものばかり。それでも分かりやすい言葉で絡まった糸を解くことをしてくる人もいる。嘘かもしれないけれど。間違っているかもしれないけど。それは優しいことだった。ねぇ知ってる? 正しさなんてなんの価値もないって。真実なんて捨てられない粗大ゴミより邪魔だって。だからきみの優しさの方がずっと尊い。だけどぼくは尊いものなど嫌い。大嫌いだよ。だってそれはぼくを寂しくさせるから。いつの間にか手の届かないところに行ってしまうから。いつだってそう。優しさはぼくを置き去りにする。ああいっそこれが昨日見た夢の続きだったらいいのに。きみが残忍に微笑んでぜんぶ嘘だよと云えばいいのに。

ごめんね悪いのはぜんぶぼくだ
チープなヒールを演じるから
どうかきみは優しいままでいて

綺麗な嘘を吐いていて




090628