ぼくの手に届く怖いものなんて大したことないのさ
これは強がりでもなんでもないよ
それでも震え上げるのは
無意味な物語があって下らない虚像が笑っているから
触れることも叶わないそれらは踏み潰してしまうこともできない
それなのになにかを確実に汚していくから
ぼくらはありもしない憂目に胸を掻きむしられなくてはならない

ぼくの手にあるのは愚かな妄想だけさ
そんなどうしようもないものだけなんだ
それなのに妄想ですら手に余る
息を妨げて生きるのを妨げて

( きえてしまわないかなあ )

世界との距離の取り方を思い出したかった
弱きものを殺さない方法を知りたかった
ただきみのとなりにいたいと思った

( きえて )

なにも変わらない
意味もなく意思もなく強固な檻の中で
のた打ち回ったところで
ぼくは傷ひとつ持てないのだから

目を閉じて
世界滅亡を祈る幼さで

( なくなれ )

朝を待つ




130120