親愛なる、



きみをだれよりも盲信していたのはぼく
でもだれよりもきみのことばを信じてなかったのもぼく

ぼくをすばらしいと云い
ぼくをえらいと云い
ぼくをうつくしいと云い
ぼくをあいしてると云う

そのひとつひとつを丁寧に否定したのはまぎれもなくぼく
きみへの盲信よりもぼくの劣等感への盲信が勝ってしまう

どんなにきみを盲信してかみさまのようだとしても
朝を夜に引きずり込むことはできないように
きみのことばがぜったいになることもない

あわれな仔羊ぼくのこと
ぜんのうなる神きみのこと
きみはぼくを見捨てない
そのエゴイスティックな愛を慈悲と名付けて

きみをだれよりあいしているのはぼく
そしてだれよりもうそつきなのもぼく

きょうもうやうやしく跪いてきみの靴にキスをするぼく
あしたも同じようにして同じように残忍にほほえむぼく
いつかぼくといっしょにしんでくれればいいのになきみ




110929
らくがき。リハビリ。