希望



生まれたときから不幸だったんだ
きみの口癖
瞳の奥の淀み
それを全否定できるほどぼくは不幸の意味を知らない
真新しい傷痕に触れるか戸惑っている間に
泣けないだれかは死んでいく
朝日が遠慮もせずにカーテンから差し込むように
ぼくらは悲鳴を踏みにじって生きていく
神に祈るのは絶望の一歩手前
神を罵るのは絶望の半歩手前
神を信じないのは、
世界は色づいた分だけ色褪せていく
きみの色を奪ってぼくが色を知るように

かみさま、ぼくはひとごろしかもしれない、

地球が青いなんてきっと大嘘
夢の話に違いない
憐憫でお腹が膨れると思っている人々のみた夢さ
きみの冷たさの中にやさしさをみたぼくと同じ
かなしくてあまい夢
幸福を議論する夜の夢

生きる理由よりも死ぬ理由が欲しいよ

かわいそうなぼく
善良なひとごろしは今日も眠れない



100314