拝啓、



涙をさそう
やさしいもの
こんなぼくの側にも
寄り添って

手を伸ばしたら
消えてしまいそう

ためらう指先が凍えて
明日を取りこぼす

同じところを
ぐるぐる
きみの夢を見ながら
ぐるぐる

気づけば
ぜんぶ終わっていた

変らないものなど
なにひとつない
そう知っていたのに

目を伏せた隙に
あたりまえ
を忘れてしまった

涙をさそう
やさしいもの
ぼくはもうずっと
その温度を知らない

もう二度と知ることもない
ごめんねもさよならも云えないまま
終わってしまったから

ありがとうも
云えないまま、





100107