2010



忘れたいことならたくさんある
忘れたくないこともそれなりになる
だけど記憶は勝手に色褪せて
ぼくらは正しく忘却を辿っていく

今日とか昨日とか明日とか一昨日とか明後日とか今年とか去年とか来年とか
名前を付けてみるけれど
一瞬のような永遠や
永遠のような一瞬を
繋ぎ合わせているぼくらだから

過去に殺される夢を見たってしょうがない
秒針が回るたびになにかを忘れたっていいんじゃない
きみを手を放せなくたって、

用意された「さよなら」に向かって駆け抜けている
瞳を開けたら2010という記号を渡されて
ぼくはそれがよくわからなくて首を傾げる

   とりあえずこれからもまだまだよろしく

きみが笑ってそれでいい
2010をそっとチェストの上に置きながらぼくはそう思った




100101