パラノイア



空の色も忘れた

あなたのせいだと
呪ってしまいたいのに

そんな無意味なことをする愚かさすら
あなたに奪われてしまった

冷たさや無関心への
昏い羨望は叶わず
ぼくの胸は他人のためにまだ痛む

あなたによって惹き起こされる
ぼくのためのぼくによる痛みよりは
ずっと甘く安く嘘くさく痛む

返してよ
ぜんぶ返してよ

声なき声が木霊しても
あなたは笑って
空っぽのてのひらを差し出すだけ

月の裏側の傷痕すら
欲しかった
あなたの痛みこそ
欲しかった

わかっていた
わかっていたさ

さよならを云おう
それしかもう方法がないのならば

かなしいのはぼくだけ
あなたは、

絶対零度にひそむやさしさ
あいしていた
愛していた
愛だったら

よかったのに



(さよなら)




091221