ララバイ



せっかくねむれそうだったのに
きみのせいで目が覚めた
どうしてくれようと睨みつけてみたけれど
うれしそうな顔をしてホットミルクを差し出されたら
もうどうだってよくなってしまう

そしてぼくらはどうだっていい話をする
その空気はほのぼのと云えるのだろうが
残念ながら話の内容はほのぼのとは程遠い
だってきみは顔に似合わずえろとかぐろとかだいすきで
ぼくも恋愛話をされるよりはそんな話のほうがすきなので

日付が変わりそうな夜遅く
えげつない会話が飛び交う

だけどホットミルクの湯気がなんだかやさしげで
君の声のトーンも心地良くて
ぼくは愛をささやかれている気分になる

(まぁこれほどの勘違いもないのだけれど)

きみはなんだか知らないがテンションが上がったらしく
(見知らぬ人が見てもその変化はわからないだろうが)
楽しそうな声でネク●フィ●アうんぬんかんぬんと話しはじめた
ぼくはホットミルクで温まった体をゆらゆら揺らしながら

そっと瞼をおろす

きみの声がだんだん遠くなっていき
眠りの準備をはじめた体が寒さに小さく震えた
すると起こさないようにと細心の気づかいをもってして毛布が掛けられる
ぼくは舟に揺られる意識の中でどうせならベッドに運んでくれと願ったが
きみにはぼくを抱えられないことを思い出し
諦めて毛布を口元近くまでぐいっと引っ張りあげた

「おやすみ、いい夢を」

きみの声がした
それが夢か現かはもうよくわからなかったけれど
どちらでもいいと思った
どちらでもぼくがしあわせであることにかわりなはい

でもできればもう一枚毛布がほしい




091214