まどろみ



目をつむると捕まっちゃいそうだった
だれも不協和音を求めてはいない
とぎれた悲鳴
まただれかに口をふさがれてしまったの
うそはついちゃいけないって教わった
だけどすきだよって云うとよろこんでいた
お鼻は伸びたりしない
きみとの距離が広がるだけ
蛍光灯はきらい
でも夜闇はこわい
目をつむって祈っていた
ちかちか光る真夜中のひみつ
どこにも身の置き場がなくて
不協和音をかなでる
もう眠ってしまったきみに
気づかれないようにそっと
そっと
そっと
枕に吸いこまれた悲鳴
捕まっちゃいそうだよ
もういっそ捕まっちゃいたいよ
いたいよ
いたいよ
目をあけたら
ぼくの眼球はもうないのかも
だったらいいな
そこに涙の湖をつくれるから
そしたら
きみが小船をうかべてね


(ぼくを遠くに逃がしてね)




091125